施工データの記録と保存

 

施工データの記録と保存(標準:PG工法)

既存杭引抜き工事には定められた施工・品質管理方法や必要記録事項などがありませんでした。
施工管理指針が存在せず、守るべき基準がないために、通常の工事業においてあり得ないことが日常化していました。
既存杭引抜き工事は、何かを構築する工事とは違い、ものを除去してなくしてしまう工事です。
ましてや地中のことですので、埋めてしまえば、後から確認することは不可能です。
施工データを持ってしかすべてを証明することができないので、その記録と保存がとても重要になります。
当協会推奨の標準工法=PG工法では、既存杭引抜き工事において必要な記録、保存すべき事項を以下のように規定しています。

PG工法で記録保存される事項

1写真

既存杭引抜き工事では、引き抜かれた杭の写真だけが、唯一目視で確認できるものです。特に引き抜かれた杭の先端部の写真は、どのような形状であっても必要となります。

2既存杭の位置・大きさ・深さ

杭が打設されているその場所は既に原地盤ではありません。
基礎杭を打設したときに、既に地層は搾取され変化しています。
その杭を引抜こうとすると、さらに大きな範囲で地層を搾取・変化させてしまいます。どの位置で、どの大きさで、どの深さまで地層を搾取・変化したかという記録を残すことは、その土地を再利用するうえでとても重要です。
この記録保存がなく利用計画を立ててしまうと、地層が搾取・変化されていたことが、後になって発覚することとなり、急な設計変更や災害などの重大事態を引き起こす危険性があります。

3既存杭の残置の有無

既存杭引抜き工事では、さまざまな原因で既存杭が地中に残置してしまう場合がありますが、この残置の報告は義務づけられるべきです。
杭の残置は大きなトラブルの原因になります。
残置の報告では、何メートルより下に残置しているかという「正確な深度」も重要な報告事項になります。

4埋め戻し

杭の引抜き孔が、どのような硬さ、状態で埋め戻されているかという情報も、後の土地活用に重要なので記録保存されます。
・埋め戻し材料
・埋め戻し量・注入量
・配合強度
引抜き孔でもっとも重要なのは、実際の引抜き孔の状態です。
「引抜き孔の健全性評価試験」も必須となります。

5一連の施工データ

既存杭引抜き工事では、データが全てを証明します。
どのように掘削して、どのように引き抜いたのか?新しく地盤を構築する埋め戻しに関しては、規定の注入量は実際に注入されたのか?施工は管理方法通りに行ったのか?など施工の一連のデータが必要となります。
PG工法では専用の施工管理装置を用いた一元管理を行い、その一元管理された報告データと、唯一目視で確認できる写真をもって初めて、実際の施工を証明するものとしています。
施工管理装置画面(一例:PG工法)
施工管理装置画面(一例:PG工法)